今日付け朝日新聞から
下記URLから引用させていただきます。
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/asahi_region-AST1V3RHGT1VONFB001M.html
手話通訳者の報償、適正か 三重県調査、市町によって倍以上の差
手話通訳者を派遣する際の報償費が市町によって2倍以上の開きがあることが、三重県の調査結果でわかった。県は来年度、約20年ぶりに県の報償費を上げる方針だ。しかし外国語通訳者に比べるとかなり低い。20日にあった県の付属機関である手話施策推進部会で、報償費が適正かどうかについてやり取りがあった。
県は2017年に手話言語条例を施行、知事定例記者会見で手話通訳を置くなど手話による情報発信に力を入れている。県が昨年10月に29市町に調査したまとめによると、県のほか27市町がそれぞれ資格のある手話通訳士や手話通訳者を、行事や会議に派遣したり、病院や役所に行く聴覚障害者に同行してもらったりしている。
報償費は、市町の平均で始めの1時間は2296円、5時間で総額1万296円。ただ市町によって開きがある。四日市市と菰野、川越両町は始め1時間が4千円で5時間1万2千円、鈴鹿市も始め1時間は4千円で5時間1万6千円。一方、県や津市、御浜町は1時間1500円で5時間7500円だ。
県の付属機関の障害者施策推進協議会・手話施策推進部会は、学識経験者や聴覚障害者団体、手話団体などの委員9人が県の手話施策について審議する。
20日の部会で県障がい福祉課は各市町の報償費を示し、県は来年度から1時間2千円に引き上げる方針を示した。これに対して県手話通訳問題研究会参与の鈴木文子委員が「2千円の根拠は何か」とただした。
担当者は「20年近く単価を見直してこなかった。他の都道府県や県内市町の支給状況、民間の賃上げを踏まえた」と説明した。
鈴木委員は「手話通訳資格の取得には4年はかかるし、全国統一試験の合格率は全国平均で20%程度だ。時間と労力、お金を費やした資格の対価として2千円は適正な金額なのか。外国語通訳と比較検討してほしい」と主張。
「手話通訳の待遇の抜本的改善に向け、県全体の均衡を取るような金額の設定でなく、市町に対して県が率先して報償費を見直す姿勢を示してほしい」と訴えた。
06年に国連総会で採択された障害者権利条約は「手話は言語である」と明記。日本でも11年に障害者基本法で手話は言語だと規定された。だが外国語通訳に比べると手話通訳の報酬は低いのが現状だ。
ある外国語通訳派遣会社によれば、一般公開セミナーなどの通訳料金は半日で5万3千円から。日本観光通訳協会によれば、実労4時間で2万〜3万5千円が通訳案内士に支払われる目安という。
手話通訳士の女性は取材に対し、「手話通訳は福祉分野のボランティアだという認識から社会は離れられず、報酬は低く抑えられている。これでは職業として成り立たない。認識を変えてほしい」と話す。
県の昨年10月の調査によると、県内で手話通訳者を配置しているのは、県(2人)のほか、四日市市(5人)や松阪市(3人)など10市町にとどまる。
一方で、県は手話通訳者養成講座を実施していて、23年度時点で県内に115人いる登録通訳者を26年度末には135人に増やす目標だ。
また、県民や県市町職員、児童生徒向けの手話の講座などを開いており、手話に関心を持つ人の裾野を広げたい考えだ。
県障がい福祉課の谷智子課長補佐は「手話通訳者の処遇など環境改善に向けて市町と情報を共有したい。報償費を外国語通訳と比べるという視点はなかった。格差は全国的な課題なので問題意識を持ちたい」と話している。(高田誠)
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